今は早期リハビリが注目されています。
1日ベッドで安静によって生じた体力の低下や筋力の低下は回復するのに1週間かかり、
1週間ベッドでの低下は回復するのに1ヶ月かかるといわれています。
離床、ベッドから離れるようにすると腸管同士の局所刺激が生じ、腸蠕動が促されるといわれていますが、効果があるという報告はないそうです。
離床と言うより、早期から経口摂取を始めるといいとされています。
腸蠕動への効果を判断するには、まず腸蠕動の仕組みです。
消化管の固有筋層には、内輪走筋、外縦走筋の2層構造です。
粘膜下には粘膜下神経叢(マイスナー神経叢)があり、筋層間には筋間神経叢(アウエルバッハ神経叢)があり、ともに
副交感神経、交感神経の支配を受け、それぞれ腺分泌と消化管運動を調節しています。
ストレスなどが影響する理由でもありますね。
消化管に物理的な刺激を与えられると、口側は萎縮し、肛門側は弛緩します。
これにより腸蠕動が起こります。
体位変換や離床により腹腔内の腸管が移動することによって腸管同士の局所刺激が生じて腸蠕動が促進されると考えられます。
術後の消化管運動の回復までの時間は、
小腸がもっとも早く8〜24時間、胃が24〜48時間、
大腸がもっとも遅く48〜72時間程度とされています。
また術後の硬膜外麻酔では交感神経からの遠心線維をブロックするため、副交感神経が優位となり腸蠕動が亢進します。
そのため場合によっては第一歩行するまえに腸が回復している可能性があります。
腸管が動いてから経口摂取するのではなく、
経口摂取することで腸を動かすという考え方から、
術後は早期に経口摂取を始めるほうがいい。
術後合併症を予防するためにも早期離床、早期経口摂取で腸蠕動を促す必要があるといえます。